正礼装に、必用不可欠にして、間違い・変更は、絶対に許されないシャツです。
夜の正礼装・燕尾服の場合:立衿・イカ胸・両穴・本カフスの立衿イカ胸シャツ。白蝶貝のスタッド釦・カフス釦使用。
夜の正礼装・タキシードの場合:立衿・ヒダ胸・両穴・本カフスの立衿ヒダ胸シャツ。オニキスor黒蝶貝のスタッド釦・カフス釦使用。
昼の正礼装・モーニングの場合:立衿・胸に飾り無し・本カフスの立衿シャツ。真珠or白蝶貝のカフス釦使用。
正礼装により、礼服も異なり、シャツも、デザインが少しづつ違いますが、立衿・本カフスの礼装用シャツは、全ての服を礼装に、全ての礼服を、よりフォーマルに致します。
礼装用シャツの専門メーカーも、少なくなりました。フォーマルを知らないメーカーの品々も、時には見掛けます。下記の詳しい解説で、お確かめ願います。
イカ胸と立衿(立カラー)は、19世紀中頃に 燕尾服(当時は乗馬服)が礼服・正礼装になった際、胸に勲章を佩用する為に、作られました。他の礼服・礼装品が、カジュアルからの転用借用その中で、唯一最初から、折目正しいフォーマルの為に作られた、折目正しい礼装品です。
20世紀に入り タキシード(元は部屋着のスモーキングジャケット)は、色は黒、立カラー&イカ胸シャツ等、燕尾服の礼装品を用いる事を条件に、礼装としてアメリカの市民権を得ました。
21世紀目前の今も、折目正しき正礼装ホワイトタイ(燕尾服)には、立衿イカ胸シャツ+白蝶タイが正式です。折目正しき正礼装ブラックタイ(黒タキシード)には、立衿イカ胸シャツ+黒蝶タイが正式です。
そして折目正しき楽礼装(花ムコの燕尾服・流行のタキシード・モダン用ダンス服・略礼服・等)には、立衿イカ胸シャツ+蝶ネクタイが用いられます。
19世紀中頃の、折目正しくその為の、皺・型崩れ・着崩れを許さない、伝統の技法・仕組は、「昔は職人 今システムズ」…「タキシード会議」の立衿イカ胸シャツの随所に、今も生き続けています。
御手持ちの(立衿)イカ胸シャツと照合・確認しながら、この解説を御覧頂ければ、更に御理解深まる事と存じます。
●立衿(タチエリ):立衿に触れてみて下さい。折目正しいハードな仕上がりが、特長です。立衿は礼装の象徴、芯が命です。当社が研究開発した特殊芯で、「立衿イカ胸シャツ」が実現しました。昔の澱粉糊で固めた立カラーと違って、型崩れの心配は 全く有りません。その品質の確かさは、スポーツ以上に汗だくになるTV・ステージのダンサー、クラシックの指揮者の方々が、実証済です。
未だに、この事実が信じられない方々の為に、昔ながらの「並衿イカ胸シャツ」も用意してあります。但し、立カラー、カラー釦は、扱っていません。
●並衿(ナミエリ):昔は、カラー付け外し式シャツが普通でした。それで並み衿のシャツ。今は、簡単に着られる立衿のシャツに、取って代わられました。右写真は、並衿イカ胸両穴シャツ
★チェック・ポイント:礼装用シャツの簡単な見分け方。衿のサイズ表示を見る。S・M・L又は衿サイズのみ表示の品は、避けるが無難。
衿の後ろ、肩布の真ん中に、昔から付いてるテープです。ネクタイが、ズリ上がるのを防ぎます。
蝶タイの紐は、必ず、この「背テープ」に通して下さい。この事は、御友達に教えてあげましょう。
★チェック・ポイント:背テープの無いイカ胸シャツは、フォーマルを知らないメーカーの商品です。
燕尾服着用の際、胸の真ん中に勲章をしっかり止めるために、芯地を入れて糊で固めた、よだれ掛けの様な「胸当て」を作り、シャツの上から首の後で結んで、前に垂らしました。その形状から日本のシャツ職人達は、これを「するめ」又は「いか」と呼び、一般にも「イカ胸」の名が定着しました。
後に、着やすい様にシャツと合体、並衿イカ胸シャツ(後開き)が出来ました。更に前開きになり、立カラーを縫い付けて、現在の立衿イカ胸シャツになりました。
イカ胸の縁の部分を、よぉく見て下さい。縫い目が見えないでしょう。伸縮率が大きく違う、薄い表地と厚い芯地を重ねた仕立てでも、アイロン掛けて皺の寄らない、昔ながらの縫い方です。この伝統の技法を確実に伝えているのは、当社だけです。そして当社開発の特殊芯の使用で、防皺効果は更に向上しました。
★チェック・ポイント:イカ胸の縁の部分に、縫い目が見えるシャツは、アイロン掛けで、胸の部分に必ず皺が寄ります。この皺を取る事は、腕の良い職人さんでも困難です。
●前立て両穴:着用の際は、仮止めの「コツ釦」を外して、「スタッド釦」を用います。
釦穴は、スタッド釦が 縦横十文字にガッチリ止まる様、左前身頃は縦に、右前身頃は横に、前身頃両方に開けてあります。それで「両穴」です。
釦穴の大きさは、タキシード会議のスタッド釦に合わせて11.5mm。従来より、僅か1.5mm大きくしただけで、スタッド釦の止め方が簡単になりました。
●スタッド釦の簡単な止め方:イカ胸両穴シャツを着る前に、スタッド釦を、右前身頃の裏側から、釦穴に押し込んで付けて置きます。シャツを着て、普通のシャツと同じ様に釦を掛けて下さい。
「タキシード会議のイカ胸両穴シャツとスタッド釦」を御持ちでない御友達にも、教えてあげて下さい。
●前立て白釦:スタッド釦風の白釦を付けました。普通のシャツ同様に着られて、簡単便利です。右写真は、立衿イカ胸白釦シャツ
★チェック・ポイント:「両穴」全部が縦に開いてるシャツは、メーカーの勉強不足か 手抜きです。
イカ胸の下、右前身頃に付いてる舌状のタブが「引出し」です。イカ胸をピィンと引っ張り、皺を防いで、シャツがズリ上がるのを防止します。
●使用法:シャツを着て普通に立って、「引出し」の位置に当たるズボンの内側に、予め 釦を付けて置きます。
シャツを着たなら、最後に「引出し」を、左前身頃の穴から引出して、引っ張って、「引出し」の釦穴に、先程のズボンの釦を、引っ掛けて止めます。この事も、御友達に教えてあげて下さい。
★チェック・ポイント:この「引出し」は、キッツイ方が良し。滑りが良いのは、チカラになりません。付いてないのは、論外です。
シングル両穴カフス釦止め。19世紀中頃、最初の礼装用シャツ(イカ胸)も、この形のカフスです。これが正式、本物の礼装用シャツのカフスです。タキシード会議は、 「本カフス」に、こだわり続けます。
★チェック・ポイント:ダブルカフス(フレンチカフス)は、いなせなパリっ子の腕捲りから。本来 カジュアルです。「正しい礼装」には、決して用いません。
シャツの左脇、裏の裾の近くについている、品質表示と洗濯絵表示を御確かめ下さい。ポリエステル65%綿35%の混紡、色は別染め、タキシード会議の「フォーマルホワイト」です。
洗濯、クリーニング、普通でOKですが、新品同様の状態で、永く御愛用頂く為に、塩素系の漂白剤と、長期に亘って保管する場合には、澱粉質の洗濯糊を、使用しないで下さい。折角の「フォーマルホワイト」の風合を、損ねる場合があります。
★チェック・ポイント:綿100%の礼装用シャツを、上手に仕上げる職人さんが、ホントに少なくなりました。そして、どんなに上手に仕上げても、澱粉糊で固めたイカ胸は、汗をかいたら終わりです。
イカ胸シャツを作る人も、イカ胸シャツが判る人も、少なくなりました。イカ胸シャツ選びの、お役に立てば幸いです。
燕尾服+立衿イカ胸シャツ+白蝶貝のスタッド釦 &カフス釦+白蝶タイの組合わせ。19世紀中頃に確立した、折目正しい伝統の着方です。
黒タキシード+立衿イカ胸シャツ+黒蝶貝orオニキスのスタッド釦&カフス釦+黒蝶タイ&カマーバンドの組合わせ。20世紀初頭に確立した、 折目正しいタキシードの着方です。
花ムコの燕尾服or流行のタキシードor流行のスーツor略礼服orモダン用ダンス服+立衿イカ胸シャツ+蝶タイの組合わせ。21世紀初頭に確立する、折目正しい新しい着方・着こなしです。
立衿のシャツが、なんとなく照れくさい貴方、お出掛けの際はアスコットスカーフで、会場で蝶タイに換えては如何でしょう。
堅胸のシャツと、イカ胸のシャツは、同じものと思われます。
Starched bosom:糊で固めて、アイロンきかせて、滑らかに仕上げた胸・・を、この本の筆者は、堅胸のシャツと正確に表現したのでしょう。
そして、タキシードに合わせるシャツと言う記述も、世界のメンズフォーマル事情を正しく伝えています。
市販されている多くの書物には、イカ胸シャツは燕尾服用と出ていますし、それを、そのまま鵜呑みしている業界人・服飾評論家が殆どです。
イカ胸シャツは、タキシード誕生の際は勿論、現在でも、格調高く正礼装のタキシードの際に用いられています。
ヒダ胸シャツ…元々は、1902年 米国はアロー社発売のカジュアルシャツです。20世紀・スピードをイメージ・デザインした、このシャツの胸一杯に大きく畳み込まれた、襞々とネクタイを、風に靡かせ、はためかせ、普及し始めた自動車で、ドライブするのが 大流行。そして礼装として、米国市民権を得て間も無いタキシードに組合せる着方・着こなしが、これまた大流行。
1920年代 タキシードが、燕尾服に準ずる礼装として世界中で認知された際、ヒダ胸シャツは、立カラーを用いる事で礼装用として認められ、タキシードのシャツとして定着しました。
折目正しいフォーマルを、着易さ第一のカジュアル感覚で楽しんで頂きたく、「昔は職人 今システムズ」親子三代に亘り改良に改良を重ねてきた、「タキシード会議」の立衿ヒダ胸でシャツです。
御手持ちのヒダ胸シャツと照合・確認しながら、この解説を御覧頂ければ、更に御理解深まる事と存じます。
●立衿:立衿に触れてみて下さい。ハードな仕上がりが特長です。「立衿は 芯が命」当社が研究開発した特殊芯で、「立衿ヒダ胸シャツ」が実現しました。フォーマルの折目正しさはそのままに、その着易さは、昔のカラー付け外し式の「並衿ヒダ胸シャツ」とは、比べ様も有りません。
●シャツ衿:「普通衿のヒダ胸シャツ」は、カジュアルの頃の名残です。タキシードと組合された時だけ、フォーマルと認識されます。又 蝶タイするのに、上衿の上げ下げが面倒で難しい。
★チェック・ポイント:礼装用シャツの簡単見分け方。衿のサイズ表示を見る。S・M・L 又は衿サイズのみ表示の品は、避けるが無難。
衿の後ろ、肩布の真ん中に、昔から付いてるテープ。ネクタイが、ズリ上がるのを防ぎます。 蝶タイの紐 及びクロスタイは、必ず、この「背テープ」に通して下さい。この事は、御友達に教えてあげましょう。
★チェック・ポイント:背テープの無い立衿のシャツは、フォーマルを知らないメーカーの商品です。
1cm巾・片側6本、前立分を加えて全部で14本、等間隔で平行に折目正しい「ヒダ胸」です。
インチ単位のヒダ(例えば半インチ・片側8本とか…)から、「ヒダ巾1cm」に 基準単位の変更が、「昔は職人 今システムズ」へ、製造工程の劇的な変革を、もたらしました。
手折りのヒダ作りは、まっすぐに一ヒダ折ったら、アイロン…ミシン、等間隔で平行に2 本めを折ったら、アイロン…ミシン、ヒダの数だけアイロン台とミシンを、行ったり来たりの、気の遠くなる様な、 職人の手仕事。そこでヒダ取り専用高速ミシンを、開発導入。これで生産性と品質が、著しく向上しました。
素材は綿100%から、ポリエステル65% 綿35%の混紡に変更、これで洗濯しても取れ難いヒダになり、アイロン掛けも簡単になりました。かくして品質・価格共、世界に通用するヒダ胸が完成しました。
★チェック・ポイント:ヒダ胸は特殊なタックです。縫い目が見えるのは普通のタック、 縫い目が見えないのが、昔からのヒダ胸のタックです。
「アナタ 下着ガ見エテマス…」外人さん宅のパーティ、老婦人の一言から「タキシード会議の前立」が誕生しました。
シャツ釦は下着のイメージ、フォーマルは隠し釦か、飾り釦との事。ならば 隠し釦と、ヒヨク仕立にしてみたが、フライ・フロントではVゾーンがさびし過ぎ、表前立比翼では 作るに手間が掛かり過ぎ。
簡単で洒落た感じの前立と、試行錯誤を重ねた末の「タキシード会議の前立」です。釦と 釦穴の開け方で、正礼装の両穴から、気軽にフォーマル楽しめる ヒヨク・黒釦・シャツ釦等々、色々変化、しかも男女共用のオリジナル前立です。
★チェック・ポイント:タキシード会議のシャツと 一目で判ります。
●前立て両穴:着用の際は、仮止めの「コツ釦」を外して、「スタッド釦」を用います。しかし、これが なかなかの難物。これでタキシードが嫌いになった人、大勢います。
釦穴は、スタッド釦が縦横十文字にガッチリと止まる様、上前立は縦に、下前立は横に、上下の前立 両方に開けてあります。それで「両穴」です。
釦穴の大きさは、タキシード会議のスタッド釦に合わせて11.5mm。従来より、僅か1.5mm大きくしただけで、スタッド釦の止め方が簡単になりました。
●スタッド釦の簡単な止め方:ヒダ胸両穴シャツを着る前に、スタッド釦を、下前立の裏側から、釦穴に押し込んで付けて置きます。シャツを着て、普通のシャツと同じ様に釦を掛けて下さい。
「タキシード会議のヒダ胸両穴シャツとスタッド釦」を御持ちでない御友達にも、教えてあげて下さい。
●ヒヨク:すっきり御洒落な「タキシード会議の前立」の隠し釦です。従来と反対側が開きますので、 職人曰く「逆ヒヨク」。
●黒釦:スタッド釦風の黒釦を付けました。普通のシャツ同様に着られて、簡単便利。
●シャツ釦:カジュアル時代の名残です。今はホテル・レストラン等のユニフォーム専用。
★チェック・ポイント:「両穴」全部が縦に開いてるシャツは、メーカーの勉強不足か手抜きです。
シングル両穴カフス釦止め(前立両穴シャツのみ、他は釦が付いて両用です。)19世紀中頃、最初の礼装用シャツ(イカ胸)も、この形のカフスです。これが正統、本物の礼装用シャツのカフスです。
しかも、カジュアルなパーティでは、上着を脱いで腕捲り、大いにハッスル・エキサイト 宴JOYパーティ楽しめます。タキシード会議は、あくまでも「本カフス」に、こだわり 続けます。
★チェック・ポイント:ダブルカフス(フレンチカフス)は、いなせなパリっ子の腕捲りから。本来カジュアルです。紳士は当然、「正しい礼装」には、決して用いません。
シャツの左脇、裏の裾の近くについている、品質表示と洗濯絵表示を御確かめ下さい。ポリエステル65%綿35%の混紡、色は別染め、タキシード会議の「フォーマルホワイト」です。
洗濯、クリーニング、普通でOKですが、新品同様の状態で、永く御愛用頂く為に、塩素系の漂白剤と、長期に亘って保管する場合には、澱粉質の洗濯糊を、使用しないで下さい。折角の「フォーマルホワイト」の風合を、損ねる場合があります。
★チェック・ポイント:綿100%の礼装用シャツを、上手に仕上げる職人さんが、ホントに 少なくなりました。特にヒダ胸の場合、パーティで惨めなシャツをよく見掛けます。
ヒダ胸シャツを作る人も、ヒダ胸シャツが判る人も、少なくなりました。ヒダ胸シャツ選びの、お役に立てば 幸いです。
黒タキシード+立衿ヒダ胸シャツ+黒蝶貝orオニキスのスタッド釦&カフス釦+黒蝶タイ&カマーバンドの組合わせ。1920年代に世界各国で認知された、正しいタキシードの着方です。
タキシード+立衿ヒダ胸シャツ(両穴の場合はスタッド釦も)+色柄物の蝶タイ&カマーバンドの組合わせ。ブラックタイで…と言われた時の、普通のタキシードの着方です。
色々な服+立衿ヒダ胸シャツ+蝶タイの組合わせ。気楽・着楽なタキシード風の着方です。
タキシード+立衿ヒダ胸シャツ+アスコットスカーフの組合わせ。カジュアルなパーティに、おとなのタキシードの着方です。
立衿のシャツが、なんとなく照れくさい貴方、お出掛けの際はアスコットスカーフで、会場で蝶タイに換えては如何でしょう。
立衿は、礼装の原点です。立カラーから立衿シャツへ。19世紀のモーニング専用シャツ&カラーから、21世紀のフォーマル汎用シャツへ。立衿は、昔も今も、これからも、礼装の象徴・必須のアイテムです。立衿シャツは、+蝶ネクタイで、あらゆる服が、世界の多くの人々が認める「タキシードな礼装」なると言う、優れものです。
19世紀の中頃、散歩服のモーニングが昼の礼服・正礼装に、乗馬服の燕尾服が夜の礼服・正礼装に制定された時も、…
20世紀に入り、室内着のスモーキングジャケットが礼装タキシードに、そのタキシードが 夜の礼服・準礼装になった時も、糊で固めたハードな立衿…立カラーを、並衿(当時は カラー付け外し式のシャツが普通、それでナミエリ)のシャツに、カラー留めの釦で取付けて着用しました。
collar-work〔名〕骨の折れる仕事。直訳すればカラーの仕事。立カラー作りは、正に その通り。糊付け乾燥、糊付け乾燥を繰返し、濃い糊を沢山刷込んで、プレスにロールにアイロンで、硬く仕上げる工程は、特にハードな重労働。しかし、どんなに奇麗に仕上げても、夏にはカビや黄変と、気骨の折れる立カラーでした。おまけに、立カラーを必要とする人々は少なく、作る職人も、扱い業者も、限られていました。
高度成長時代の1970年頃からは、人手不足に後継者難、材料の綿キャラコ・特厚芯地も入手困難、カラー留め釦の業者廃業等で、最後のカラー屋 私共も万事窮す、遂に1988年 立カラーの時代は終焉しました。
〔used no starch〕1950年代の初め、アメ横で買求めた舶来のワイシャツの衿に記された横文字。今にして思えば、これが立衿シャツの出発点。「澱粉糊を使用せず」なら、カビ・黄変は無い筈と研究開始。接着剤から化学糊、色々試すその内、日本でも熱接着の芯地が発売される。仕上りの硬さの点では不満は残れど、糊で固める必要無けりゃ、立カラーの存在理由も消滅と、立カラーと並衿シャツを合体、着易いモーニングシャツとして、発売したのが1980年。
更に、ハードな立衿の実現に専用芯地・縫製技術・生産システムの研究開発。新規需要の開発に着方・着こなしの研究と、デザインの改良・変更を、重ね重ねて1988年、現在の立衿シャツが完成しました。
既に世界の多くの人々は、フォーマル汎用の立衿シャツで、気軽にパーティを楽しんでいます。
例えば タキシードの本場、米国。「タキシードシャツ」と呼ばれ、ジーンズショップでも売っています。
例えば 紳士の国、英国。「三つ揃スーツ+立衿シャツ+ネクタイor蝶タイorアスコットタイ」の伝統スタイルが復活。
そして日本。「タキシード会議」提唱の楽しい礼装「アスコットな楽礼装&タキシードな楽礼装」が益々普及。
立カラーから立衿シャツへ、作る製品変っても、仕事に掛ける情熱は、「昔は職人 今システムズ」、型崩れせぬ「タキシード会議の立衿シャツ」に、受継がれています。
御手持ちの立衿シャツと 照合・確認しながら、この解説を御覧頂ければ、更に御理解深まる事と存じます。
立衿に触れてみて下さい。ハードな仕上がりが特長です。「立衿は、芯が命」当社が研究開発した特殊芯で、「立衿シャツ」が実現しました。昔の澱粉糊で固めた立カラーと違って、型崩れの心配は全く有りません。
★チェック・ポイント:礼装用シャツの簡単見分け方。衿のサイズ表示を見る。S・M・L 又は衿サイズのみ表示の品は、避けるが無難、片手間メーカーの商品です。
衿の後ろ、肩布の真ん中に、昔から付いてるテープ。ネクタイが、ズリ上がるのを防ぎます。ネクタイ及び蝶タイ・アスコットタイの紐は、必ず、この「背テープ」に通して下さい。この事は、御友達にも教えてあげましょう。
★チェック・ポイント:背テープの無い立衿のシャツは、フォーマルを知らないメーカーの商品です。
「アナタ 下着ガ見エテマス…」外人さん宅のパーティ、老婦人の一言から「タキシード会議の前立」が誕生しました。
シャツ釦は下着のイメージ、フォーマルは隠し釦か、飾り釦との事。ならば隠し釦と、 ヒヨク仕立にしてみたが、フライ・フロントではVゾーンが さびし過ぎ、表前立比翼では、作るに手間が掛かり過ぎ。 簡単で洒落た感じの前立と、 試行錯誤を重ねた末の「タキシード会議の前立」です。
釦と釦穴の開け方で、気軽にフォーマル楽しめるヒヨク&黒釦・シャツ釦の3タイプ、男女共用オリジナル前立です。
●ヒヨク:すっきり御洒落な「タキシード会議の前立」の隠し釦です。従来と反対側が開きますので、 職人曰く「逆ヒヨク」。
●黒釦:「タキシードシャツ」らしく、スタッド釦風の黒釦を付けました。
●シャツ釦:ングのシャツの名残です。今ではホテル・レストラン等のユニフォーム専用に…?
★チェック・ポイント:一目瞭然すぐ判ります。テレビのドラマ・バラエティー・音楽番組を、ちょっと注意して御覧下さい。燕尾服・タキシード等のシャツは、ほぼ100%「タキシード会議の立衿シャツ」です。
シングル両穴カフス釦止め(前立両穴シャツのみ、他は釦が付いて両用です。)19世紀中頃、最初の礼装用シャツ(イカ胸)も、この形のカフスです。これが正統、本物の礼装用シャツのカフスです。
しかもカジュアルなパーティでは、上着を脱いで腕捲り、大いにハッスル・エキサイト、宴JOYパーティ楽しめます。タキシード会議は、あくまでも「本カフス」に、こだわり 続けます。
★チェック・ポイント:ダブルカフス(フレンチカフス)は、いなせなパリっ子の腕捲りから。本来カジュアルです。紳士は当然、「正しい礼装」には、決して用いません。
シャツの左脇、裏の裾の近くについている、品質表示と洗濯絵表示を御確かめ下さい。ポリエステル65%綿35%の混紡、色は別染め、タキシード会議の「フォーマルホワイト」です。
洗濯、クリーニング、普通でOKですが、新品同様の状態で、永く御愛用頂く為に、塩素系の漂白剤と、長期に亘って保管する場合には、澱粉質の洗濯糊を、使用しないで下さい。折角の「フォーマルホワイト」の風合を、損ねる場合があります。
★チェック・ポイント:100%の礼装用シャツを、上手に仕上げる職人さんが、ホントに少なくなりました。特に立衿をハードに仕上げる事は、至難の技です。
立カラーの職人も 居なくなり、立衿が判る人も、少なくなりました。立衿シャツ選びの、お役に立てば幸いです。
モーニング三つ揃+立衿シャツ&アスコットタイ(礼装用)+真珠or白蝶貝のタイピン&カフスボタンの組合わせ。19世紀中頃に確立した古典的な着方です。
モーニング三つ揃+立衿シャツ+モーニングタイor白ネクタイor色柄物の礼装用ネクタイの組合わせ。20世紀になってからの一般的な着方です。
21世紀の今、あらゆる服が、立衿シャツ+色々なネクタイの組合わせで、グローバルスタンダード(世界基準)の「アスコットな楽礼装」「タキシードな楽礼装」になる事を、世界中の多くの人々が知っています。
例えば ブラックスーツ(略礼服)も、立衿シャツ+アスコットタイ(礼装用)orモーニングタイor白ネクタイor色柄物の礼装用ネクタイの組合わせで、世界基準の「アスコットな楽礼装」になります。モーニングの縞ズボンを組合わせると、よりフォーマルです。
例えば 略礼服・スーツ・ブレザー・ジャケット・ブルゾン・Gジャン・革ジャン・上着を脱いで、ベスト・セーター・カーディガン等、色々な服が、立衿シャツ+蝶タイの組合わせで、世界基準の「タキシードな楽礼装」になります。タキシードのパンツor黒ズボン+カマーバンドを組合わせると、よりフォーマルです。
「何もかも 蝶タイすれば タキシード 立衿シャツで よりフォーマル」
立衿のシャツが、なんとなく照れくさい貴方、お出掛けの際はアスコットスカーフで、会場で蝶タイに換えては如何でしょう。
「立衿イカ胸シャツ」は燕尾服専用、「立衿ヒダ胸シャツ」はタキシード専用の様です。胸に飾りの無い「立衿シャツ」をお勧め致します。
タキシードの本場アメリカでは、「立衿シャツ」の事を タキシード(礼装用)シャツと言います。 ジーンズショップも扱っている、ポピュラーな礼装用シャツです。このシャツと蝶タイで、あらゆる服がタキシード(礼装)になる事を、世界の多くの人々が知っています。
立衿シャツは、「21世紀は スーツ復活」と言う世界規模のメンズファッションの流れに乗って、流行の兆が見えます。一枚あれば、色々なフォーマルシーンに、色々な服・小物と組合せて活用出来ます。色々な着方・着こなし・着回しが、楽しめます。重宝します。
普通衿のヒダ胸・フリル・刺繍等の飾りのあるタキシードのシャツは、「楽しいタキシードの礼装」専用のシャツです。正礼装のタキシードには、使えません。 タキシードのジャケット・蝶タイ・カマーバンドと、組合わされた時だけの礼装用シャツです。立衿のタキシードシャツと異なり、色々な服を礼装に変える事は出来ませんので、着る場所・場合、着方・着こなしも、自ずから限定されます。
蝶タイをする時も、シャツの上衿を上げ下げしなければ ならないので、面倒です。タキシード会議は、普通衿(ワイシャツ衿)のタキシードのシャツは、お勧め致しません。
アカデミー賞受賞式での、立衿シャツと普通衿の割合については、「まあ、こんなもんでしょう。」と言うのが、私の率直な感想です。
フォーマルの変化は、極めてゆっくり。変えない・変わらないのが「正礼装」ですから。カジュアルの様に目まぐるしく変化する事は、有りません。
本場アメリカのタキシードも、一般庶民にまで普及したのは、第二次大戦後の特別措置により、大学生が急増した1950年頃。1886年の誕生から、60年も経ってからです。
「正礼装」用の、糊で固めた、付け外し式の立カラー(立衿)の生産が間に合わず、普通衿のヒダ胸シャツでOKとなった様です。当時の立カラー(立衿)は、作るのも、クリーニングも難しく、着るのも面倒でしたから、普通衿に取って代わられるのも、無理からぬ事でした。
1980年代に入り、石油化学の進歩により、現在の様な立衿のシャツが作られる様になりました。
このシャツと蝶ネクタイで、あらゆる服がタキシード(礼装)なると言う事で、「タキシードシャツ」と呼ばれて、ジーンズショップでも扱う程になりました。
立カラー+イカ胸orヒダ胸シャツから、普通衿のヒダ胸シャツに代わって50年、立衿のシャツが登場して20年、タキシードは、フォーマルは今、大きく代わろうとしています。
21世紀のフォーマル・トレンドは、ズバリ「樂礼装」フォーマルはカジュアルに!カジュアルはフォーマルに!着こなす様になります。
「white shirts」文明開化の明治の日本人の耳には、たぶん「ワイシャツ」と 聞こえたのでしょう。当時は、シャツとカラーは別々でした。フロックコート・モーニングのお偉いさんは、立衿のカラーを、この白いシャツに、専用の釦で取付けて着ていました。背広服の官員さん達は、普通衿のカラーを、この白いシャツに、専用の釦で取付けて着ていました。着物に袴の書生さん達は、カラーを付けずに、この白いシャツを、そのまま着ていました。後に、この白いシャツと普通衿のカラーは合体し、現在の形のワイシャツになりました。
世界的にも昔から、糊で固めた立衿のカラーを必要する人々も、それを作る職人も限られていました。モーニング・タキシードが普及しても、高度な技を必要とするカラー職人の なり手は少なく、立衿のカラーは、常に品不足、故に普通のワイシャツでも良し…とする様になりました。
近年、新素材・新技術の開発で、立衿のカラーとワイシャツが合体して、立衿シャツが完成しました。「正礼装」から「楽礼装」まで、礼装には立衿シャツを、どうぞ。
普通のワイシャツは、ビジネス。フォーマルではありません。しかし礼装に用いる事は、出来ます。
「white shirts」がワイシャツに、「ホワイトカラー」は サラリーマン、ワイシャツは白が普通の時代から、流行の洒落たスーツに色物のシャツのビジネスマンが、闊歩する時代になりました。私も白いワイシャツは、弔事の為に1枚持っているだけです。
色物・縞柄物のシャツが普通になった今、これを積極的に、礼装に活かさない手は有りません。洒落たスーツの一味違った礼装です。
人、集う処にチャンス有り。人と人との新しい出会いの場です。服装は、周りの人々と同じ様でも、違いすぎてもイケマセン。周りの人々と少し違う位が、ちょうど良いのです。
例えば、ビジネス絡みのパーティ・会合。流行のスーツ+色物・縞柄物のシャツ+蝶ネクタイの組合わせ。世界の多くの人々が認める、タキシードな礼装です。いつもの格好の同業他社の連中は、見知った顔を寄せ合って、同業相憐れむ不景気話。それに引き換え 蝶ネクタイの貴方は…。
例えば、友人の結婚式・披露宴。流行のスーツorブラックスーツ(略礼服)+色物・縞柄物のシャツ+蝶ネクタイの組合わせ。蝶ネクタイは、白orシルバーグレーが慶事に相応しいと思います。略礼服に白ネクタイの略礼装は、世界の非常識です。
例えば、葬儀。流行のスーツ+ダークの色調のシャツ+黒ネクタイの組合わせ。シャツとネクタイで、弔意を表現致しました。参列者全員が、略礼服に黒ネクタイ…、世界の人々の目には、やはり異様に映る様です。
普通のワイシャツも、ネクタイ替えれば礼装です。オフィスのロッカーに、蝶タイ&黒ネクタイを御忘れなく。
ダブルカフスが正式の礼装用と、思い込んでいる貴方へ。
『礼服にマッキン(ズボンの裾の折返し)とフレンチ(ダブルカフス)は無し。』1925年創業の親父の口癖でした。
「ダブルカフスは腕捲りから!?」これは紛れも無い確かな事実です。簡単に実験出来ます。
そして、ダブルカフスのシャツが「正しい礼装」に用いられなかった事も、確かな事実です。
「正礼装」燕尾服・タキシードのシャツは、昔も今も「立衿・イカ胸・本カフス(シングル・カフス釦留め)」で変り有りません。
したがって、タキシード会議は、19世紀後半に作られた、最初の礼装用シャツ…立衿イカ胸シャツの伝統を引き継いで、本カフスにこだわります。
シングル両穴カフス釦止め(釦が付いて両用)の本カフス。これが正統、本物の礼装用シャツのカフスです。こなら「正しい礼装」は勿論の事、「ラフな礼装」まで楽しめます。カジュアルなパーティでは、上着を脱いで腕捲り、大いにハッスル・エキサイト、宴JOYパーティ楽しめます。腕捲りの出来ないダブルカフスでは、こう訳には参りません。切歯扼腕 口惜しくても、口惜しがる事も出来ません。
それに、この頃は両用カフスが主流、カフス釦の足が短くなり、ダブルカフスには、使えない事があります。ダブルカフスへの、こだわりは捨てましょう。
『ダブルカフス?あんなもんは、あすび人のするこって、まっとうな紳士のするもんじゃねぇ。』と、1925年創業の親父が言ってました。
立衿シャツの衿の後ろの紐は、背テープと言います。ネクタイが、ズリ上がるのを防ぎます。蝶ネクタイ・アスコットタイ(又の字)の紐、ネクタイ・クロスタイは、必ず背テープに通して用います。もうネクタイが、ズリ上がる事はありません。この事は、お友達にも教えてあげましょう。
タキシード会議の立衿のシャツには、1925年創業の時から、背テープが付いてます。背テープの付いて無い立衿のシャツは、フォーマルを知らないメーカーの製品です。この様なシャツを扱っている御店は、フォーマルに詳しいとは申せません。