1930年代の書物には、礼装の区分・洋服の種類・昼夜の区分・行事・催事・場所・立場によって用いるべき、帽子・シャツ・ネクタイ・小物・そして靴は、これこれと、まさに頭のてっぺんから足の爪先まで、事細かに載ってます。例えば…
モーニングの場合の靴は、黒のキッド又はカーフで、ひも結びのストレートチップが正式…。
タキシードの場合の靴は、黒のエナメルで、プレーントゥのオペラパンプスが正式であると、出ています。
アメリカのファッション百科事典 Esquire's ENCYCLOPEDIA of 20th CENTURY MEN'S FASHIONSによれば、礼装用の靴については、ピーコック革命1960年代以後からは、ファッション誌でも、ただ単にブラック・シューズ(黒短靴)と記載する様になった、とあります。
世界の多くの人々は、靴について、次の様に認識しています。
従って、正礼装タキシードでは、靴は黒革のスリッポン(紐無し)をお勧め致します。これなら、世界の多くの人々も、足元・爪先迄フォーマルと認識する筈です。
楽しいタキシードの礼装orタキシードな礼装では、爪先まで「正式」に拘る必要は、全く有りません。ブラック・シューズ…黒革の短靴でOKです。
特に、立食パーティの場合は、1時間以上も立ち続け、歩き続けると覚悟して、歩きやすい、履きなれた黒革の短靴で御出掛け下さい。
お洒落のポイントが 、胸元から上に移った現在では、貴方の足元に目をやる人は、誰もいません。履きなれた黒革靴で、宴JOYパーティ楽しみましょう。
その様な事は、有りません。タキシードには「黒エナメルのオペラパンプスが正式」云々は、1930年代の「礼装指南書」です。セレモニー・レセプション・パーティ等で、人と人の間隔が全身が目に入る位あった時代の話です。世の中が変わった事を知らないで、昔のマニュアルを、そのまんま載せている出版物も、得々と語る御仁も、日本のフォーマル・メンズ業界人も、結構見受けられます。ご注意を。
1970年代以降は、単にブラックシューズ、黒革の紐無しの短靴(スリッポン)でOKです。
民主社会の現在、セレモニー・レセプション・パーティでの出席者どうしの距離・間隔は大接近。特に立食パーティでは、上半身しか見えません。貴方の足元まで目をやる人は、誰もいません。どうぞ、御手持ちの黒靴で、胸を張って御出掛け下さい。
どうしても、オペラパンプスを御所望ですか?浅草花川戸の靴問屋に問合わせた処、1970年代に燕尾服・タキシード用の靴が、単にブラックシューズ(黒のスリッポン)に変わって以来、オペラパンプスを製造しているメーカーは、皆無との事です。
注文すれば出来る職人が、残っているかも知れないが、原料の黒のエナメルの革の手配が難しい(最小ロットが、牛1頭分)との事です。
とにかくパーティは、レディファーストが大原則です。
タキシードの靴も昔は、黒エナメルのオペラパンプスが正式とされていました。軽くて踊りやすくて、誤って御一緒する女性の足を踏んでもダメージが少なく、ドレスの裳裾を汚す事も無かった為と、思われます。
今は単にブラックシューズ・・黒の短靴であればOKですが、やはり昔のオペラパンプスの様に、必ずピカピカに磨き上げて行きたいですね。それが女性への思いやりです。マナーです。エチケットです。